Ansible、AWX、Ansible Automation Platform を理解する

Red Hat Ansible Automation Platform:初心者向けガイド

エンタープライズ自動化への取り組みを開始または前進させましょう。このガイドは、初心者にも経験者にも役立ちます。詳細をご覧ください。

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組織に最適な選択をする方法

サポートされていない無償のコミュニティ版 Ansible® と、サブスクリプションベースでサポートされているエンタープライズ製品の Red Hat® Ansible Automation Platform のどちらを使用するかを検討する際には、各ソリューションの違いと、それぞれが提供するメリットを理解することが重要です。 

多くの組織は、サポートされていないコミュニティ版 Ansible で自動化プロセスを開始します。しかし、ニーズが進化して組織が成熟するにつれ、サポートされたエンタープライズ・ソリューションが必要になり、Ansible Automation Platform に移行するケースがよく見られます。

以下に該当する場合、サポート付きエンタープライズ製品のメリットを考慮することが重要です。

  • 強化されたセキュリティを必要としている
  • IT 変革に着手している
  • 自動化を拡大し、より多くの人、チーム、ユースケースに適用する準備が整っている
  • 実績のある革新的なソリューションにより、変化するビジネス要件に適応する柔軟性を必要としている 
  • 自動化インフラストラクチャの管理よりも自動化目標を優先したい

コミュニティ版 (または無料の) Ansible、AWX、および Red Hat Ansible Automation Platform の定義

Ansible コミュニティロゴ

コミュニティ版 Ansible

サポートなしの無料の自動化用オープンソース・コマンドツールです。

AWX ロゴ

AWX

サポートなしの無料のオープンソース・ソフトウェアです。コミュニティ版 Ansible の導入に使用する GUI および API ツールです。

Ansible Automation Platform アイコン

Red Hat Ansible Automation Platform

サブスクリプション・エンタープライズ製品です。企業向けに 20 以上のコミュニティプロジェクトをフルサポート付きの自動化プラットフォームに統合します。

自社に適した Ansible の選択肢

コミュニティのコマンドライン Ansibleは、個々のワークロードの自動化が必要な個人や、ホームラボの自動化を実行したい利用者に最適です。自動化作業を共同で行いたい団体用には、AWX または Ansible Automation Platform という選択肢があります。 

AWX はサポートされていないアップストリームのオープンソース・プロジェクトであるため、ほとんどの組織ではプロダクションシステムの管理に AWX を使用していません。AWX には、セキュリティ脆弱性に関するサービスレベル契約 (SLA) の保証、独立系ソフトウェアベンダー (ISV) との互換性、バージョン間のサポート付きアップグレード移行は含まれていません。また、AWX は無料ながらもセキュリティ侵害や時間のかかる修正から生じる隠れたコストがあることを、組織は認識しておく必要があります。しかし AWX は、小規模なラボでの使用やアップストリームのコードに貢献する開発者にとって有用であり、また企業で使用する Ansible Automation Platform に移行する前に開発者が automation Controller に慣れるためのサンドボックスとしても有用です。 

チームが組織レベルで自動化目標を拡張したいと考える場合、開発者ツールのサポート、複数のデータセンター、クラウド、エッジロケーションにわたる柔軟なデプロイメントオプション、互換性、アップグレード、セキュリティ脆弱性に対する SLA 保証サポートを考慮すると、Ansible Automation Platformがより適した選択肢になります。また、企業向けソリューションでは、自動化費用をより効率的かつ透過的に増減できます。Ansible Automation Platform は、より複雑な自動化のニーズを持つ大規模な組織に対して、より包括的なソリューションを提供します。

Red Hat Ansible Automation Platform および Ansible Content Collections を活用して自動化のセキュリティを強化する(動画の再生時間:4:59)

Ansible と Ansible Automation Platform の違い

ビジネスが以下の機能を必要とする場合、Ansible Automation Platform の検討をおすすめします。

コミュニティ版 Ansible と AWX のロゴ
コミュニティ版 Ansible と AWX
Red Hat Ansible Automation Platform のアイコン
Red Hat Ansible Automation Platform

セキュリティ

利用不可

プライベートな認定コンテンツのための信頼できる証拠保全。サポート、パフォーマンステスト、バグ修正、その他の標準化されたプラクティスによりセキュリティを強化し、一貫性が高く脆弱性の低いエンタープライズ環境を実現します。

認定コンテンツおよびパートナーエコシステム

利用不可

60 社以上のパートナーにまたがる 140 以上の認定コンテンツコレクション。Red Hat とパートナー各社が提供する、事前構築済みでフルサポート付きの認定自動化コンテンツをご利用いただけます。

ライフサイクルサポート

利用不可

リリースごとに最低 18 カ月のエンタープライズサポート。全コンポーネントに対する重大なバグ修正とセキュリティ脆弱性のバックポート。

法的保護

保護なし

オープンソース保証契約による知的財産の保護。

分析

利用不可

Automation Analytics および Red Hat Insights for Ansible Automation Platform が、パフォーマンスと導入の計画および追跡のための詳細な分析とレポートを提供します。

アップグレードと移行

サポートなし

メジャーリリースへの移行およびマイナーリリースへのアップグレードがサポートされます

トレーニングとコンサルティング

利用不可

充実したトレーニングとサポートが提供され、自動化プラクティスの構築と実行を支援するエキスパート人材の支援も受けられます。AWX から Ansible Automation Platform への実践的な移行支援も利用可能です。

クラウドのデプロイメントの選択肢

利用不可

Microsoft AzureAWSGoogle Cloud など、お好みのクラウド上でデプロイ可能なマネージド型アプリケーションとセルフマネージド型アプリケーション。確約利用契約にカウントされます。Red Hat のサポートにより請求が統合されます。デプロイオプションと価格情報をご覧ください

Event-Driven Ansible

お客様の環境に手動で統合する必要のある、別途のアップストリーム・プロジェクト

Event-Driven Ansible は、Ansible Automation Platform の統合済み、テスト済みの製品コンポーネントです。手動タスクを削減してより効率的な IT 運用を実現し、チームをイノベーションに集中させます。

プライベート Automation Hub

お客様の環境に手動で統合する必要のある、別途のアップストリーム・プロジェクト

プライベート Automation Hub は、Ansible Automation Platform の統合済み、テスト済みの製品コンポーネントです。

Red Hat Ansible Lightspeed with IBM watsonx Code Assistant

統合された生成 AI ツール

Ansible Lightspeed with watsonx Code Assistant は、Ansible のベストプラクティスに基づいた推奨コードを作成する生成 AI サービスです。Ansible Automation Platform のサブスクリプションに含まれていますが、すべての機能を有効にするには IBM watsonx Code Assistant を購入する必要があります。

IT 自動化ソリューションを選択する際に考慮すべきこと

チームの主な注力分野は自動化イニシアチブですか、それとも自動化インフラストラクチャですか?

組織はしばしば、同じ人数でより多くの仕事をこなそうとします。自動化はこの課題を解決します。ただし、コミュニティ・インフラストラクチャの立ち上げ、テスト、管理を同時に行おうとすると、自動化目標が頓挫することがあります。コミュニティ版 Ansible と Ansible Automation Platform のどちらを選ぶかを決める際には、分散しているコミュニティツールを効果的に管理するチームの能力と、オープンソース開発モデルへの貢献と理解への意欲を評価することから始めましょう。 

また、Ansible Automation Platform には Event-Driven Ansible が含まれており、ルールによってイベントのソースを対応するアクションと結びつけることで、手作業を減らすことができます。設計したルールブックに従って、Event-Driven Ansible は指定されたイベントを認識し、適切なアクションと一致させ、自動的に実行します。これにより、チームが価値の高い仕事に集中できるようになります。

チームは Ansible プロジェクトに積極的に貢献し、アップストリームでの変更を取り入れる方法を理解していますか?

チームがコミュニティに参加して、Ansible プロジェクトを形成したりアイデアを共有したりしたいと望む場合、www.ansible.com/community をご覧ください。コントリビューターになるための詳細を学び、活気ある Ansible コミュニティを構成するさまざまなペルソナについて知ることができます。個々の意見がコミュニティの発展に役立ち、そのまま製品に反映されます。 

Ansible Automation Platform を使いながらコミュニティ・プロジェクトに貢献している人もいます。そのような利用者は、完全にサポートされたプラットフォームからのメリットを受けると同時に、アップストリーム・プロジェクトの最新情報を得ることができます。 

チームは開発者または IT 運用担当者で構成されていますか?彼らの専門性は何ですか?

適切な自動化ツールを選択し、そのツールをうまく採用するためには、チームの注力分野を見極めることが鍵となります。 

マルチデータセンターの自動化インフラストラクチャ (サーバー、アプリケーション、ネットワーク、セキュリティ・インフラストラクチャ)、クラウド・プラットフォーム (パブリック、プライベート、ハイブリッドクラウド) の管理、または複雑な自動化目標 (IT 運用の自動化、階層的なデプロイ、エッジ環境など) の作成のいずれかに重点を置いていますか?その場合、Ansible Automation Platform が組織にとって最良の選択でしょう。

あなたのチームは Python や Go のプログラミングスキルを持ち、Swagger/OpenAPI の開発手法を理解し、GitHub のプルリクエストを実行する方法を知っていますか?その場合、AWX のような Ansible の多くのコミュニティ・プロジェクトを利用し、貢献することができます。 

コミュニティ・プロジェクトに貢献しながら、このプラットフォームを活用するのもおすすめです。コミュニティへの貢献内容は製品アップデートに含まれ、アップストリームへの継続的な貢献はプラットフォームでの体験に影響します。

日常業務に影響を与えないように、どのようなパッチ適用やアップグレードのテストを実施しますか?

自動化ソリューションを検討する際、ほとんどの顧客はインプレース・アップグレードが可能で、機能に影響を与えることなくリリースをテストできるプラットフォームを希望します。  

Ansible Automation Platform は、保証されたアップグレード、移行パス、分離されたテスト用の環境など、これらの機能を提供します。対照的に、AWX ユーザーは AWX インフラストラクチャのアップグレードとメンテナンスを自分たちで行わなければいけません。

自動化戦略の実行に必要な人材を確保できていますか?また、重要な専門家が退職した場合の準備はできていますか?

AWX を使用している組織の多くではこのソフトウェアを管理するスキルを持つ従業員の数が限られており、時には 1 人ということもあります。このような組織的知識を持った人材が組織を去ると、事業運営を危険にさらすことになりかねません。 

エンタープライズ・ソリューションならサポートが得られるため、自動化の知識が小さなチームや個人に縛られるリスクを軽減できます。また、チームのキャリアアップの可能性も得られます。トレーニングの機会が従業員のスキルアップや資格取得につながり、従業員の能力開発とキャリアの可能性を高めます。管理職にとって、このインセンティブは優秀な人材の確保に役立ちます。

お客様導入事例

Ansible Automation Platform を活用した Ulta Beauty の道のり、および同社がサポート付きエンタープライズ製品に移行した理由についてご紹介します。

動画の再生時間:1 分 16 秒

Ansible Automation Platform と DIY 自動化の経済的メリットの比較

Ansible Automation Platform では自動化達成までの時間が短縮されて運用の複雑さが軽減され、DIY 自動化よりも組織のリスクが低くなります。

81%

最初の自動化達成までの時間を短縮

30%

自動化の増加を 44% 少ないリソースで実現

2.1x

コスト削減を実現

2,000 万米ドル

追加のコスト削減を実現

702%

5 年間の投資対効果 (ROI)

出典:Aviv Kaufmann、「Red Hat Ansible Automation Platform と DIY 自動化の経済的利点」、Enterprise Strategy Group (Red Hat 後援)、2023 年 6 月。

時は金なり。自動化で時間もコストも節約しましょう。

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