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イベント駆動型の自動化とは

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イベント駆動型の自動化とは、IT 環境における条件の変化に自動的に対応して、問題を迅速に解決し、定型的な反復タスクを削減するプロセスです。 

イベント駆動型の自動化は、データ、分析機能およびサービス要求を自動化されたアクションに接続し、機能停止への対応や IT システムの調整などを 1 回の迅速な動作で実行できるようにします。「この条件の場合は、この動作をする ("if-this-then-that")」方式で自動化すると、IT チームは特定のアクションをいつどのようにターゲットとするか、管理しやすくなりますハイブリッドクラウドおよびエッジ環境の複雑さにも対処しやすくなり、チームは他の優先事項に専念できます。

イベントとは、IT インフラストラクチャの管理または IT サービスの提供に影響を与える、検出可能な事象を指します。イベントは多くの場合サードパーティの監視ツールで特定され、一般には、アプリケーション、ハードウェア、ソフトウェア、クラウドインスタンス、その他のテクノロジーにおける重大な出来事または状態の変化を指します。

イベントの管理およびイベントへの対応は困難になりがちですが、それはイベントを取り巻く状況や必要な対応には IT 環境全体で大きな幅があるからです。ある種のイベントには、セキュリティリスクのシナリオでのテクノロジーの停止など、迅速で意図的な行動が必要ですが、アプリケーションに負荷がかかっていることを示す単なる通知のイベントもあります。イベント駆動型の自動化ソリューションは、さまざまなイベントに対して最適な行動手順を指定し、のちのち発生する新たなイベントタイプに適応できる、柔軟性を備える必要があります。

IT 環境では、イベント駆動型を実現するとは、データおよびサービス要求を自動化されたアクションにつなげることで、通常は IT チームが行ってきた手作業の手順を 1 つの自動化されたワークフローで実行できるようにすることです。 

イベント駆動型の自動化により、イベントが発生したときに、システムで事前定義の自動化された対応を開始できます。たとえば、システム障害によってイベントがトリガーされると、トラブルチケットのロギングなどの特定のアクションが自動的に実行され、トラブルシューティングに必要な事実を収集したりリブートを実行したりすることができます。これらのアクションは事前定義済みで自動化されているので、必要な手順を手作業でするよりも迅速に実行できます。 

同様に、イベント駆動型の自動化はその他のさまざまな Day 2 オペレーションの実行に役立ちます。たとえば、構成管理やドリフトの問題の解決、エッジデバイス管理、プロビジョニング、ストレージ、データベース、アプリケーションへのチューニングとスケーラビリティ、ユーザー管理などです。

イベント駆動型の自動化の詳細を確認する

ハイブリッドクラウド環境やエッジロケーションで自動化をより戦略的に使用することを目指す組織は、管理やサービス提供に中心的な IT アクションを自動化することから始めがちです。自動化によってこれらのプロセスのスピードとアジリティを増し、人的ミスを最小限に抑えることができますが、それでも一部のイベントには手作業によるトラブルシューティングや情報収集が必要で、解決が遅れ、日常業務が中断することがあります。 

イベント駆動型の自動化は、IT 管理へのアプローチを事後対応から事前対応に切り替える支援となり、完全なエンドツーエンドの自動化で IT アクションを効率化します。イベント処理機能を持つソリューションにより、ドメイン、プロセス、地理的地域を越えて自動化の利用が広がり、運用効率、レジリエンス、効率性が確保され、自動化の成熟度が高まります。

イベント駆動型の自動化によって、障害に対する平均復旧時間 (MTTR) の短縮など、IT の対応が迅速になります。また、作業日数を長引かせたり勤務時間外に発生したりすることの多い手作業を行う必要はありません。イベント駆動型ソリューションを使用して、サービスチケットの作成、事実の収集、ターゲットのテクノロジーで変更が検出されたときに呼び出される対応手順を自動化できます。イベントと対応への観察能力が増すので、潜在的な問題や反復する問題にチームはプロアクティブに対処できます。

イベント駆動型の自動化は、IT チームの以下の作業に役立ちます。

  • 自動化に理想的なタスクを選択し、ネットワークエンジニアなどの IT ドメインエキスパートが主なニーズに対して柔軟に自動化を適用できる 
  • 既存の運用知識を自動化された意思決定およびアクションに組み込む
  • 反復タスクを効率的に完了し、サービスをより迅速に提供する
  • 低レベルのタスクを削減し、貴重なリソースを他の優先事項に使用する
  • 緊急事態になる前に、面倒な問題をすばやく解決する
  • ネットワークエッジインフラストラクチャDevOpsセキュリティクラウドの反復タスクを自動化する

イベント駆動型の自動化を始めるには、IT チームが頻繁に手作業で行っている日常的な反復タスクの特定から着手します。一般的なユースケースには次のようなものがあります。

自動化された修復
特定のタイプの問題の解決策は、一連の手順の繰り返しであることがよくあります。イベント駆動型の自動化は、問題を報告する分析やチケットを、その問題を解決する自動化された手順に結びつけます。これによって、チケットの解決、既知のシステム挙動パターンに基づく問題の修復、監視対象のイベント (システムの容量を増やす必要があることを示すアラートなど) への対応を自動化できます。 

チケットのエンリッチ化
チケット管理に関する共通の問題は、効果的な根本原因分析 (RCA) を行うのに足りるだけの情報がチケットに含まれていないことです。イベント駆動型の自動化を使用して、関連するシステムに接続し、データを収集して、より徹底的な RCA プロセスに必要なリッチな詳細情報で対応するチケットを更新することができます。 

自動化されたプラットフォームのスケーリング
アプリケーション・ワークロードとプラットフォームは、自動化されたプロビジョニングを活用してビジネス継続性を維持し、顧客に対する潜在的なインパクトを軽減します。手作業のプロビジョニングを待つのではなく、IT チームは能力とパフォーマンスのメトリクスをイベント駆動型の自動化と組み合わせて、コンテナ、クラウド・インフラストラクチャ、仮想マシン、その他のテクノロジーを自動的にプロビジョニングできます。自動化されたスケーリングに加えて、アプリケーション・ワークロードからのイベントによって開発およびテスト環境のプロビジョニングもトリガーされ、イノベーションプロセスを迅速化できます。

リスクの緩和
イベント駆動型の自動化により、リスクが特定されると即座にセキュリティ対応を開始できます。たとえば、ファイアウォールでリスクが特定されると、イベント駆動型ソリューションでファイアウォールを即座に遮断してサービスチケットを作成し、セキュリティ侵害を受ける可能性を低減できます。イベント駆動型の自動化は、障害をすばやく対処するために役立ちます。さらに、障害につながる兆候をプロアクティブに監視することもでき、将来的に問題が発生することを防ぎ、IT の安定性を確保できます。

自動化されたチューニングおよび容量管理
継続的なチューニングおよび容量管理は、Web アプリケーションの管理やストレージプールの監視など、多くの IT 機能にとって必要です。チームによっては、毎月チューニングが数千回から数万回も発生し、手作業では長時間を要します。イベント駆動型の自動化なら、このようなタイプのイベントに事前定義されたルール (ストレージ容量の低下などの事象に対処するものなど) に基づいて対応でき、自動調整をトリガーできます。このチューニングプロセスから手作業を排除すると、チームの効率性とコスト効果が高まり、他の重要なビジネスニーズに対応できるようになります。

スケーリングの自動化
チューニングと同様、アプリケーションのストレージ、処理機能、ネットワーク帯域幅をユーザーのニーズに合わせて手作業で拡張するのは大変な作業です。イベント駆動型の自動化ソリューションなら、たとえばバッファープールを監視して、限度に達したら自動的にサイズを調整できます。

Red Hat® Ansible® Automation Platform の一部である Event-Driven Ansible は、エンドツーエンドの自動化に発展させるために必要なイベント処理機能を提供し、あらゆる IT ドメインの時間がかかるタスクを自動化します。 

Event-Driven Ansible はスケーラブルで応答性に優れた自動化ソリューションで、個別の実用的なインテリジェンスを含むイベントを処理できます。IT チームは特定のイベントに対して適切な対応を判断して、自動化されたアクションを実行してイベントに対処または修復できます。 

IT サービス管理タスクにはチケット強化、修復、ユーザー管理などが含まれ、最初に取り扱う対象として最適です。しかし、Event-Driven Ansible は IT 環境上のさまざまなタスクを自動化するに足りる柔軟性を備えています。Event-Driven Ansible は分析機能を自動化されたアクションに連携させて、IT のレジリエンスと応答性を向上させ、チームがより重要な作業に専念できるようにします。

Event-Driven Ansible には以下のようなメリットがあります。

  • イノベーションの加速化:チームを解放して最も重要で最適な作業にあたらせて、より優れた価値を IT からビジネスに提供できるように支援します。
  • イベント駆動型の自動化をより効率的に実装する:Ansible Rulebook を使って自動化ルールを記述し、人間が読める YAML 言語を使用して対応手順を提供します。目的に応じて Ansible Playbook を埋め込みます。必要に応じて変更を行います。Ansible Rulebook は Playbook に似ていますが、「この条件の場合は、この動作をする」という形式の条件を使用して、発生したイベントへの対応を可能にします。  
  • スピードと応答性を向上する:緊急事態になる前に、問題をすばやく解決します。平均復旧時間 (MTTR) を短縮する:低レベルのタスクを削減し、他の優先事項に対する貴重なリソースの使用状況を最適化します。
  • 柔軟に働く:ソースからルール、アクションまで、モジュール式設計を使用してイベント駆動型の自動化をオペレーション全体に適用します。多数のイベントソースに登録します。目的とする方法でアクションを実装するルールを記述します。
  • IT ドメイン全体で適応する:ネットワーク、エッジ、インフラストラクチャ、DevOps、セキュリティ、クラウドの反復タスクを統一された自動化プラットフォームで自動化します。
  • 一貫性を確保する:運用知識を Ansible Rulebook で体系化して、毎回同じ方法で対応します。多くの場合、大量の反復タスクを疲弊したスタッフが行うことで発生する、人的ミスを最小化します。

Ansible Automation Platform はオープンソースのイノベーションをベースに構築された包括的な自動化ソリューションで、エンタープライズ向けに強化されているので、生産性を向上させ、新しいプロジェクトの完了までの時間を短縮できます。Red Hat サブスクリプションを使うことで、堅牢なパートナーエコシステムからの認定コンテンツ、ホストされた管理サービスへのアクセス、チームが組織全体で自動化を拡張するためのライフサイクル・テクニカルサポートを利用できます。また、数千ものお客様を支援することで蓄積された Red Hat の専門知識を活用できます。

コンテナ、クラスタ、Ansible とイベント駆動型自動化の統合

Red Hat Ansible Automation Platform、Red Hat OpenShift®、および Red Hat Advanced Cluster Management を併用することで、複数の環境にまたがる複数の Kubernetes クラスタを効率的にデプロイし、管理できます。

このインタラクティブな自習型ラボでは、Ansible Automation Platform でイベント駆動型の自動化を使用する方法を学習できます。実践的なサンプルを通じて、仕組みを学び、自分の IT 運用の課題に適用する方法を確認します。

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Red Hat の自動化を選ぶ理由

Red Hat Ansible Automation Platform には、複数チームでの自動化の展開や企業全体での自動化の導入に必要なツールがすべて揃っています。

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