エッジ AI とは
エッジ AI (人工知能)、またはエッジ上の AI とは、エッジコンピューティング環境における AI の実装、つまりエッジデバイスに直接搭載した AI のことです。そのため、一元化されたクラウド・コンピューティング施設やオフサイトのデータセンターではなく、データが実際に収集された場所の近くで計算処理を実行できます。エッジ AI により、クラウドやオフサイトデータセンターに接続しなくても、データの即時処理と迅速でスマートな意思決定を可能にします。
エッジコンピューティングによって、デバイスがある場所の近くにデータが保管されるようになり、AI アルゴリズムはインターネット接続の有無によらず、デバイス上で作成されたデータを処理します。これにより、データはミリ秒単位で処理され、リアルタイムでフィードバックが提供されます。エッジ AI では、応答がほぼ瞬時に提供されます。機密データがエッジ外に送られることがなければ、安全性が強化されることにもなります。
過負荷のクラウドデータセンターにデータを送らなくて済むので、センサーや IoT デバイスなどのエッジデバイスが重要なテクノロジーとなりつつあります。
従来の AI との違い
エッジ AI は、コネクテッド・テクノロジーから生成されたデータがバックエンドのクラウドシステムに転送される従来の AI アプリケーション・フレームワークとは違いがあります。 AI モデルはバックエンドで実行されるのではなく、ネットワークエッジ上で動作するコネクテッドデバイス内部のプロセッサー上に構成されます。これにより、エッジ上にインテリジェンスの層が追加され、エッジデバイスはメトリクスと分析を収集するほかに、それに対応して動作できます。これはエッジデバイス内に統合された機械学習 (ML) モデルがあり、エッジ上で真の AI が実現されるからです。
人工知能の目標に変わりはなく、通常は人間が人間による監督なしで実行する作業を実行し、機能する、スマートなマシンを構築することです。ただし、エッジ AI は、デバイスが使用されている場所の内部やその付近で、ローカルに機能して意思決定を行います。
エッジ AI のメリット
エッジコンピューティングと人工知能を組み合わせると、大きなメリットが生まれます。エッジ AI により、センサーと IoT デバイスが存在する場所であるエッジに HPC (高性能計算) 機能がもたらされます。システム間の接続性や統合を必要としないので、ユーザーはデバイス上でデータをリアルタイムで処理できます。他の物理的な場所と通信せずに、データを集約してユーザーに提供することで時間を節約できます。
エッジ AI には次のようなメリットがあります。
- 消費電力の低下:データ処理をローカルレベルで実行して、クラウドデータセンターよりも電力要件がはるかに低いエッジで AI を実行することで、エネルギーコストを削減します。
- 帯域幅の削減:データフローでの帯域幅を削減し、クラウドに送信するのではなく、より多くのデータをローカルに処理、分析、保管して、コストを最小化します。
- プライバシー:エッジ AI 運用からエッジデバイス上でローカルに処理されたデータについて不正使用や悪用のリスクを低下させます。
- セキュリティ:データをエッジネットワークで処理および保管したり、冗長で無関係かつ不要なデータを除外したりして、重要なデータ転送を優先します。
- スケーラビリティ:クラウドベースのプラットフォームと相手先ブランド製造 (OEM) 装置のネイティブなエッジ機能で、システムを容易に拡張します。
- 遅延の低減:クラウド・プラットフォームから一部の負荷を取り除き、ローカルに分析して、クラウドベース・プラットフォームを分析などの他のタスクから解放します。
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